竣(しゅん)の作品2

 

ハデス・流星・コロシアム

コロシアム

 

この村は、流星の村と呼ばれるほど、よく空から星が落ちる。 

月に一度どころか、週に一度、ひどい時は毎日のように。 

しかしなぜか、村自体には落ちてこない。 

不思議に思った者が、星が落ちたところを地図に記していくと、 

なんと、村を中心とした円状に、綺麗に落ちており、 

さらに一度落ちたところには二度落ちないことがわかった。

 

この話が風に乗り、噂となって町に、町から国へ届き、 

村は数年で町に、さらに数年で国へと成った。 

星が落ちないギリギリに城壁を築き、何者も攻めてこれないように。 

星が落ちた跡を使い、いくつものコロシアムを築きあげ、 

星の石を加工した武具を使って腕を競う、大陸一と言える大国へと生まれ変わった。

 

しかし、とある研究者が言った言葉が、皆の長年の疑問を再燃させる。 

『なぜ、この国の近く以外には星が落ちないのか』 

この国は…村は…「何かに守られている」と同時に、 

   「何かに狙われている」のではないか? 

民のほとんどがその考えに至った時…世界は豹変した。 

空は闇に覆われ、落ちた星から魔物が生まれ、コロシアムにいた人たちを襲い始める。 

一際大きな流星から、光を飲み込むほど深く濃い闇が溢れ出る。 

闇は形を成し、自身の名を言う。 

「我はハデス…冥界の王なり… 

  過去この村にした借りを返してもらいに来た…」 

国は為す術もなく飲み込まれるかと思われた… 

が、一人の青年が剣を抜き、声を上げる。 

「ハデスよ、冥界の王よ、死を司りながら、つまらぬ死を好むのか!正々堂々我らと戦え!」 

神に刃向かう、ハデスが生きる中でそのような人間はいなかった。 

面白い…ハデスはそう呟くと、近場の大きなコロシアムを闇で包み、大きく言い放つ。 

「か弱き人間達よ!我に抗ってみせよ!」 

 

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